サン共同税理士法人は1,500社以上を顧問先とし、多彩な税務案件を支援する税理士事務所です。自社で理念研修や日報システムなどを運用することで、社員が自然と理念に触れる機会をつくっています。こうした仕組みを通じて、100名を超える組織規模でありながらも、理念が浸透した組織づくりを実現。今回は代表の朝倉歩様に、B-SCOREの導入経緯や効果についてお話を伺いしました。

ブランディング施策の方向性に漠然とした不安
B-SCORE導入時の会社の課題を教えてください。
私たちはブランディングにおいて「相手から選ばれること」を大切にしています。マーケティングやリクルーティングがこちらから近づいていくイメージなのに対し、ブランディングは相手から手を上げてもらえるよう時間とお金をかける点が異なります。
採用面ではX(旧Twitter)での発信に力を入れ、2024年入社した39人のうち67%が入社前からXで接点を持っていました。Xで会社の価値観やスタンスを発信しているので、弊社に合わないと思う人は応募せず、逆に強く共感した人が集まるという好循環が生まれています。
また、経営理念の浸透にも注力し、日報システムを導入して社員の考えや行動を確認しています。日報はアンケートのような役割も果たしています。組織の強さは情報の伝わる速さだと考えており、階層が多すぎると、スタッフから上司への報告が途中で消えたり、必要な情報が上層部に届かないことがあります。まだ100人規模なので、全ての日報に目を通すようにしています。
このようにブランディングや理念浸透に積極的に取り組み、組織の課題も認識しながら対策を打ってきました。しかし「施策が正しいかどうか」は実行している私たちでも結果が出るまではわかりません。今のやり方でうまくいっているように見えるものの、明確な指標は存在しませんでした。
全体を俯瞰して組織を把握する力
B-SCORE導入において決め手を教えてください。
私はブランディングを「中身と外見の両方を大事にする取り組み」と捉えていますが、特に重視しているのは中身の充実です。見た目が整っていても、実際の働き方や価値観がともなっていなければ選ばれる組織にはなれません。だからこそ私は、社員一人ひとりの考えや行動がどれだけ理念に根ざしているかを把握するために、全員の日報をチェックしています。日報にはバリュー(企業理念に基づく行動指針)についてコメントする項目を必須入力としており、その内容から社員の状況や理念浸透度を確認しています。
日報には「いいね」機能を付け「いいね」のランキングも毎月発表しています。「いいね」された数だけでなく「いいね」をした人の「利他的」な姿勢も大切なので、された人もした人も評価し、前向きな文化を育てています。
ただ、今の方法では限界があることも認識しています。現在は100人規模なので日報をチェックできていますが、今後社員数が増えると、全ての日報を見ることが難しくなるでしょう。そこで、組織全体の理念浸透状況を俯瞰できるB-SCOREに興味を持ち、導入を決めました。B-SCOREを導入したからといって日報を撤廃するわけではありません。定期的に組織の状況を把握するB-SCOREとスピード感を持って社員の状態を把握する日報を使い分けて理念浸透を促進したいと考えています。
保守的な税理士業界の中で変革を目指す私たちにとって、会社の理念がどれだけ浸透しているかを確認することは重要なことだと捉えています。

正しい方向性の確認と新たな発見
B-SCOREの診断結果を通しての感想を教えてください。
B-SCOREを導入したのは2024年10月。まだ経営理念を明確に言語化する前の段階でしたが、社内に理念が浸透しているかを測るにはよいタイミングでした。結果として、実際に行っている取り組みが間違っていなかったことが確認できました。特に注目したのは「生産性を重視するか、手間暇をかけるか」という質問で、社員の認識が会社の方針と非常に近かった点です。テレワークのガイドラインでも生産性を最優先に置いており、常に時間単価を意識してもらっています。一つの会議に100人集まると、30~100万円というコスト感覚で運営しており、コスパを強く意識してもらっているためスコアも高く出て嬉しく思いました。
強みの可視化だけでなく、課題も明確になりました。
たとえば、理想はボトムアップなのに現実はトップダウンと感じている社員がいたり、クレドに明記している価値観についても認識の差が可視化されました。「求職者への理念共有」や「管理職への憧れ」についての課題も明らかになりましたが、Xでの発信強化や評価制度の再構築といった施策は現在進行形で進めています。そういった意味では、手をつけていない問題はないことが確認できて安心しました。

定期的な測定で着実な成長へ
最後に今後のブランディングの展望を教えてください。
ブランディングには終わりがないと考えています。理想的なブランドの構築に向けて一つずつ取り組むことが大切で、信頼のように一朝一夕には達成できません。ぶれずに地道に進んでいくことが重要です。
中身と外見を両方強くしていくため、理念や価値観をつくって終わりではなく、毎週理念研修を実施して浸透を図っています。まだやるべきことが山積みですが、短期間に全てを詰め込むと消化不良を起こします。大切なことは繰り返し伝える必要があり、継続的な取り組みが欠かせません。
また、組織の規模が大きくなればなるほどミスブランディングのリスクも大きくなります。間違った方向に進まないためにも組織の課題と強みを正確に把握した上で、施策を打つことが重要です。
今後も定期的に調査を実施し、組織の状態を確認していく予定です。年に一度か二度、健康診断のようにB-SCOREを活用したいと思います。次回スコアが上がっていれば嬉しいですし、もし下がっていたとしても改善の余地があると前向きに捉えられます。
外見の部分(アウターブランディング)もまだ課題があります。ホームページの整備やYouTubeの展開など、これからの取り組みも多くあります。中身と外見をつくっていくのがブランディングだとすると、長い道のりが待っています。B-SCOREには特に「中身を強くしてくれるツール」として期待しているので、定期的に実施しながら、取り組みの方向性をチェックし、ぶれずに組織を強化していきます。
税理士業界全体が私たちのようになるべきだとは微塵も思っていませんが、特徴的な存在として私たちのような事務所があることで、税理士業界の魅力の幅が少しでも広がればと願い、これからも挑戦を続けていきます。