株式会社Therapist Infinityは、整体院「trust body」を運営し、セラピスト向けセミナーも展開しています。創業以来、患者様の“痛み”を体のサインとして捉え、独自の施術スタイルにこだわってきました。組織が拡大するにつれ、理念の解釈や行動基準のズレが顕在化し、B-SCOREを導入。今回は事業統括マネージャーの中田一希様に、導入の経緯や効果についてお話しをお伺いしました。

“10名の壁”で揺らいだ価値観——選ばれる組織であり続けるための分岐点
B-SCORE導入時の会社の課題を教えてください。
私たちが運営する「trust body」では、痛みだけでなく患者様の心にも寄り添うことを強みにしてきました。創業メンバーは、会社の考え方や治療方針を深く共有できていたため、阿吽の呼吸で物事が進んでいました。しかし、スタッフが10名を超えたあたりから、それまで感覚的に通じ合っていたはずの価値観や判断基準にズレが生まれ始め「なぜそう考えるのか?」という問いが現場で増えていきました。
このズレを放っておけば、私たちが大切にしている“心と身体の両面からの価値提供”が実現できなくなる——そんな危機感を抱くようになったのです。実際、コンビニの倍以上あると言われる整体院業界の中で選ばれ続けるには、このタイミングで会社の考え方や方針を明確にし、全員が同じ方向を向いている状態をつくる必要があると感じていました。
教わる技術と、診るべき組織。経営にも健康診断という視点を。
B-SCORE導入において決め手を教えてください。
整体院業界は、師匠の教えを重んじる傾向が強い業界です。私たちも、長年お世話になっている師匠のような存在がおり、今も定期的にコンサルティングを受けています。深く会社を理解してくださっている方なので、いただくアドバイスは非常に的確で、施術に対する客観的な評価を受けられる環境があります。
一方で、会社そのものの状態については、自分たちで見ている範囲や感覚で判断してしまっていることが多いと感じていました。人の体も、どれだけ元気に見えていても健康診断をしてみると意外な不調が見つかるように、会社も客観的に“診る”機会が必要なのではないか。そう考えた私たちは、B-SCOREの導入を決断しました。
また、私たちのような整体院業界では、1人1台PCを持つ体制が整っていないケースも多く、院内に1台しかないことも珍しくありません。だからこそ、スマートフォンやタブレットから簡単に回答できるB-SCOREの設計は、忙しい現場でも無理なく活用できる点で大きな安心感がありました。

対話を重ねて見えた、“本当に大切にすべきもの”
B-SCOREの診断結果を通しての感想を教えてください。
B-SCOREを通じて最も大きかったのは「会社について本気で語り合う機会」が生まれたことでした。
これまでの私たちは、創業メンバー同士の関係性や経験の積み重ねから“分かり合えている”という前提で進んできました。しかし、サーベイ結果をもとに経営会議を重ねる中で、実は一人ひとり微妙に異なる考え方を持っていたことが明らかになっていったのです。
印象的だったのは、社内の研修のレポートに対して違和感を感じていた点。経営層としては「なぜもっと量を出さないのか」と思っていたものが、現場のメンバーにとっては「質を深めることの方が大事」という価値観だったと気づけた瞬間でした。
また、驚いたのは創業メンバー同士ですら、顧客重視か社員重視かといった本質的な優先軸でズレがあったこと。何度も丁寧に議論を重ねた結果「理念を体現できる組織とは、まず社員がやりがいや共感を持って働ける状態があってこそ」という結論に至り“社員重視”という明確な方針が定まりました。
方針が定義されたことにより、経営層の姿勢にも変化が生まれ、現場との関わり方が徐々に変わり始めました。そして何より、B-SCOREの診断がなければ、こうした議論自体が生まれていなかったという実感があります。
目の前の課題を“感覚”ではなく“データ”として捉えたからこそ、抽象的だった理念が、行動や判断軸として明確な形を持ち始めたのです。

バイアスのない視点が、経営の質を変えていく
最後に今後のブランディングの展望を教えてください。
組織というのは、自分たちの感覚だけではなかなか本当の状態が見えにくいものです。私たち自身、これまでも経営層で理念や方向性を話し合ってきたつもりでしたが、やはりそこには無意識のバイアスがかかっていたのだと、B-SCOREを通して気づかされました。
社員が実際に何を感じ、どう考えているのか。その“現場の温度感”を偏った見方ではなく、多角的かつ抜け漏れのない形で把握することで、初めてリアルな経営課題が見えてきます。今後はそうして得られた現実に真摯に向き合いながら、議論を重ね、より精度の高い戦略を描いていきたいと考えています。
B-SCOREは単なるスコア表示のツールではありません。結果から生まれる“対話のきっかけ”そのものが私たちにとっては最大の価値です。今後も、B-SCOREの診断結果を起点に、理念や方針の再定義を繰り返しながら、ぶれないブランドを育てていきたい。そのためにもB-SCOREを一度きりではなく、定期的な「組織の健康診断」として位置づけ、社員数の変動やフェーズの変化が起きるたびに活用していくつもりです。
組織の軸が明確になり社員との関係性も変わり、ブランドとしての方向性も見えてきた今、私たちはようやく“スタートラインに立てた”という実感があります。これからも理念を中心に据えた組織づくりを進めながら、整体院という枠を超えて、誰かの人生を少しでも変えるきっかけを提供し続けていきたいと思っています。